マンガ喫茶でたまたま手に取って読んだ原作の漫画がとても面白く、今回、huluで配信されているのを見つけて、さっそく視聴しました。その感想です
個人的には原作がある映画に関しては、原作と映画は別物であって、「原作と違いすぎる」とか「改変しすぎて原作の良さが台無し」とかいう批判は的外れだとは思っています。
とはいえ、本作は、自分が原作を読んだことがあるからなんとか最後まで見ていられたものの、原作を読んでいなかったら、何の価値も見どころも見いだせない映画だったのではないかという感想だけが残りました。
あらすじ
勉強もスポーツもダメ、彼女ナシのパッとしない高校生だが、ロックを愛する心だけは人一倍強い日々沼拓郎(野村周平)。友人に誘われバンドを結成した彼は卒業後、上京して伝説のライブハウスで活動し始めるが、なかなか客は集まらない。そんな現実にもめげず熱いライブパフォーマンスを繰り広げていたある日、トップアイドル宇田川咲(二階堂ふみ)と出会う。(シネマトゥデイより)
採点
10点
感想
プロセスに対する描写がなさすぎる気が・・・
とにかく全ての登場人物のキャラクターと、登場人物間の関係性に関して描写がなさすぎるように思いました。そういう部分を意図的に排除しているのかと思えるほどで、登場人物に対して全く感情移入できませんでした。
「勉強もスポーツもダメだけど、ロックに対する情熱は人一倍」という主人公・日比沼のキャラも何も描かれていないし、いわんやロックロールブラザーズの他のメンバーをや。
一番致命的だと思ったのは、宇田川咲がロックンロールブラザーズに入れ込む心情も、日比沼の宇田川咲に対する感情も、なんかプロセスの部分なくて、伝わってきませんでした。。
さらには、日比沼が常に腰から90度に屈んで、目を見開いて、「ぅあぁ~、ぅあぁ~」と唸っているだけの、コミュ障というレベルではなく、完全に脳機能障害のレベルでして、そんな主人公にどうやって感情移入しろというのでしょうか。
たんに騒がしいだけのシーンの連続
全体を通して、登場人物が暴れまわったり、物が散乱したりするシーンが多いんです。その感じが、「勢いあるだろ?おしゃれだろ?」と押し付けられているような感じがしましたが、個人的には、単に騒がしいだけというか、見づらい画面だなぁ、と思いました。
あと、ぶっきらぼうで粗暴な感じの演技が多いのですが、その感じも相まって、全体的に、「おしゃれ感を狙いすぎて逆にダサい」というように感じました。
熱くもなれない・・・
結局、細かい部分はどうでもよくて、「ウォォォォ!!ロック!ロック!なんか知らんけど、俺も明日からめちゃくちゃやってやるぜぇぇぇ!!」という気持ちになれればよかったんでしょうが、最後まで全然そんな気持ちになれませんでした。
なんでかなぁと考えてみたのですが、たぶん、ストーリーの焦点というか、日比沼の情熱の対象が、「ロック」に対してなのか「宇田川咲」に対してなのかが、うまく定まっていないというか、どちらも中途半端なストーリーだったかなぁと思いました。
普段映画を見る際は、ストーリーがどうとか、心理描写がどう、とかそんなこと考えもせず、ただボーっと見てるだけです。本作に関しては、原作漫画を読んで、きっと熱い気持ちになれるんだろうな、という期待があっただけに、そんなことを考えてしまうほどに、見どころを見いだせない映画でありました。
あと、ネット上では、本作に対し「ライブシーンがとてもよい」という感想が多いです。が、個人的には、全くそのように感じませんでした。
ただ、それに関しては、ホントによいかよくないか判断すべき部分ではなく、「『作中では』とても良いライブであって、登場人物は皆そう感じている」という前提で見るべき部分だということはわきまえています。